不意に目が覚めた。


・・・まだ、外は暗いみたいだなぁ。


お正月は終わったけれど、まだまだ1月の初め。今の季節この時間はとても寒いけど、僕は今ちっとも寒くない。

それは隣で眠る筧君と身体を寄せ合って寝ているから。ちょっと恥ずかしいんだけど腕枕なんかされて・・・・。

起こさないように目線だけ動かして、凄く近くに有る筧君の顔を見てみた。


あ・・・、睫毛長い。


不意に心臓が音をたてる。

考えてみたら、筧君の顔こんなに間近でじっと見る機会なんて無かった。朝起きると大抵、筧君の方が早く目を覚ましてたし、たまに僕が早く目覚めても気配で筧君もすぐ目を開けていたから。

いつもとは違う状況に慣れない僕の心臓は、ゆっくりだけど確実に鼓動を早くしていく。

顔も熱くなってきた。なんだか、腕枕されてたりお互いの体がくっついている事に今更ながら凄くドキドキして顔を布団の中に隠したくなったけど、筧君を起こしてしまいそうで出来なかった。

もう一度寝なおそうと目を瞑ってみても、意識がはっきりしてしまって上手くいかない。

何度か試みて失敗した僕は自分の首を絞めることはわかっていたけど、閉じていた瞼を上げて、また筧君の寝顔を見ることにした。

結局の所、僕は筧君の顔が見たかったという事なんだけれど・・・・。

目を閉じると少し幼く見える筧君の顔が、さっき目を瞑る前と変わりなくある。

未だに心臓の鼓動は早いし、顔の熱も引かなかったけど、筧君の顔を見ていて段々恥ずかしさだけじゃない、何だかあったかい感情が不意に僕の胸に生まれてきた。

それは、じんわり僕の身体に染み込んでとても幸せな気分にさせてくれる。以前の僕だったら、こんな気持ちにはなれなかった。

だって、筧君を知らなかったから。

他の人の腕がこんなに優しいという事も、この柔らかなぬくもりも、知ることが出来たのは筧君がいたから。

筧君がこんな僕を好きになってくれたから。

そう思ったら嬉しさが胸一杯に広がって、何故か涙目になって慌てた。

だって、気持ちが通じる事だって僕には奇跡に近いのに、こうやって二人でいれてお互いが幸せに感じるなんて、とても凄い事のように思うもの。

まだ、ちょっと恥ずかしいけど、この腕枕も筧君の寝顔も体温もすべてが優しくて、言葉にされなくても好きだって伝えてくれてる。


あ・・・・何だか眠くなってきた・・・・・・。


もう少しこの気持ちを味わっていたかったけど、何だかとても心地良くて直ぐにでも寝てしまいそうになる。


・・・・・もう少しくっついても良いかな。


もっと筧君の傍に居たくて心地よい眠気に捕われそうになりながら、そんな事を考えていると、不意に筧君の腕枕をしていない方の腕が僕を包み込むようにゆっくりと動いた。

一瞬、驚いて思わず筧君を見たけど目は閉じられたままだった。

しばらくしても起きる気配は無くて単なる寝返りみたいなものだったのかな、なんて思ってたら、また眠気が襲ってきた。

うつらうつらしながら、偶然だったにしてもまわされた腕はとても温かくて、単純だなぁなんて頭の隅で思いつつ、また嬉しさが胸に広がっていって、その心地良さに口がゆっくりとわずかに笑みの形を作った。

僕は、少しでも筧君にこの温かい気持ちを伝えたくなって、聞こえてなくても良いから口を動かした。



   「好き。」


そう言って僕は意識を手放した。ちゃんと言葉になっていたかもわからない。ただ、口を動かしただけかもしれない。

でも、筧君の腕が少し動いた気がしたのは、眠った後に僕が見た夢だったのかな。

スイマセン;;ちょっと好奇心で;;
やっぱ慣れない事はするもんじゃないですな(遠い目)
ちなみに、無駄に甘くなったのは予想外の展開でした;;
つか、筧起きてますから(死)
本当は、筧verも書きたかったんですが、断念。
機会が有れば、自己満で書こうと思います。